BONZOUR JAPON no62「サードウェーブ・カフェ in Paris」
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BONZOUR JAPON no62「サードウェーブ・カフェ in Paris」

¥150 税込

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BONZOUR No.62 特集「サードウェーブ・カフェ in Paris」    La 3e vague de Café à Paris なぜパリのコーヒーはまずかったのか?  世界的に定着した感のあるサードウェーヴ・カフェブーム。その発祥は、日本の喫茶店で茶道にも通ずる精神をもって丁寧に淹れられるフィルターコーヒーが、アメリカやオーストラリアへ渡り、影響を与えたと言われている。〝サード〟というからには、ファーストとセカンドも当然あった。 コーヒーのファーストウェーヴは、スイスのネスレ社が1938年に発売したインスタントコーヒー(日本での発売は1953年)に代表される大手食品メーカーが仕掛けた〝気軽にどこでもコーヒーを味わう〟ためのものだった。しかし、本格的な香りや味わいに欠けるインスタントコーヒーの弱点を補うべく、1967年、アメリカ・サンフランシスコのベイエリアに《ピーツ・コーヒー&ティー》、1971年にアメリカ・シアトルで《スターバックス》がオープンし、セカンドウェーヴが巻き起こる。 それから時を経て2010年代、世界の主要都市を中心にサードウェーヴが起こった。日本では2015年、東京・清澄白河にオープンした《ブルーボトルコーヒー》がそのアイコン的存在となっている。  じゃあパリはどうなっているの?そう、カフェの街・パリにも時代の波は押し寄せた!ところがこの展開は、他の都市のそれとはだいぶ異なる面白い展開を見せている。そもそもフラ ンス初のカフェといえば、パリ左岸・サン=ジェルマン・デ・プレ地区にイタリア人の起業家フランチェスコ・プロコピオが1686年にオープンしたカフェ《ル・プロコップ》まで遡ることができる。ファーストウェーヴどころの話ではない歴史を持つフランスのカフェ文化は、その後、この界隈に名店《カフェ・ドゥ・フロール》や《レ・ドゥ・マゴ・パリ》を生み出し、パリは犬も歩けばカフェに当たるカフェの都となった。ところが、つい最近までパリのコーヒーはとてつもなくまずかったのである。その理由は、エスプレッソに大量の砂糖を入れたり、ミルクと割って飲むカフェ・クレームといったスタイルそのものが、コーヒー元来の味を追求する余地を与えなかったこと。そして、18世紀に始まったフランスの植民地・タヒチ島でのコーヒープランテーション以来、コーヒーは鮮度や味をおざなりにされた、大企業の儲け道具として扱われてしまったからだった。美食大国のタブーにされてしまったコーヒーは、長年〝 jus de chaussette –ジュ・ドゥ・ショセットゥ/靴下の汁 〟と揶揄される可哀想な立場へと追いやられてしまった。そう、パリにサードウェーヴ・カフェブームが巻き起こる前までは。  パリのコーヒーに革命をもたらした先駆者は《La Caféothèque-ラ・キャフェオテーク》の創始者、グロリア・モンテネグロだ。「かくして理想のカフェは2005年にオープンした。そしてお客は誰もこなかった。」と当時を振り返って彼女が語る通り、長年〝コミュニケーションの席料〟以上の意味を持たなかったコーヒーが美味しくなったからといって、わざわざ飲みに来る人はいなかった。しかし一部の味のわかる人々や、パリのコーヒーのまずさに辟易していた外国人ジャーナ リスト、美食家などが彼女の奮闘を後押しして、今号の特集でも紹介しているサードウェーヴの旗頭を担う若き経営者たちに本物のコーヒーについて手ほどきし、パリのコーヒーはほんの10年ほどの間に、劇的な変化を見せることになるのである。そんなパリのサードウェーヴ・カフェブームの今と、多彩なヴァリエーションを見て欲しい。もう、パリのコーヒーを靴下の汁とは言わせない。 2017年4月 ボンズール・ジャポン編集長 猫沢 エミ (Editoから) J'aime NîMES パリ小説『くそったれ巴里』 フランス子育て事情コラム『La Cigogne』 SURVIVRE AU JAPON CAHIER de CHOCOLAT etc